風景写真講座② 構図の作り方 実践編

写真愛好家の皆さん、こんばんは。
フォトファンタジスタ×シティランナーのw.aokiです。

今日は、風景写真の構図作りについてお話しようと思います。
前回は風景写真で多用する様々な構図について、レクチャーさせていただきました。
今回はそれらの構図を頭に入れたうえでどう撮るか、というお話です。
言わば実践編となります。


基本となる構図を頭に入れ込んだらいよいよ撮影…と言いたいところですが、このテーマ、割と悩みます。
全体を撮るべきか、と或る部分にフォーカスするべきか。

単なる記録写真ならば取り敢えず全体を撮っておけば良いと思います。
観光名所の販売向け風景写真などもそうです。
広角レンズで広々とその場の雰囲気を写しておけば問題ありません。
例えば、夏の向日葵畑を考えてみましょう。
花の写真として考えるならば向日葵をクローズアップして撮れば良いでしょうけれども、風景写真として考えるならば少なくとも花(複数の方が望ましい)・青空・背景(山や遠方の森など)は入れておいた方が望ましいでしょう。
観光名所の風景ならば、その場の雰囲気を伝えることも重要になるためです。

ただ、作品として捉えるならばどうなのか。
こうなってくるとケースバイケースになります。
その風景を切り取って見る人に自分が伝えたいものを伝えるために、全体を写した方が望ましい場合と、部分にフォーカスした方が望ましい場合があるためです。
そのフレームワークを効果的な演出の1つとして使用できるようになる(少なくともその切っ掛けになれば)、それが今回のお話の中心となる狙いです。

と、前置きが長くなってしまいましたが・・・
本日は以下の3つの項目に分けてお話しますので、お付き合いいただけますと幸いです。
なお、以下の3つのトピックを選択すると該当するトピックに移動できますので、目的のトピックがある場合は一気に進んでいただくことも可能です。

では、始めさせていただきますね。
 

Today’s Topic

  • 1.全体か部分か
  • 2.要素配置とそのバランス
  • 3.写真を通して表現したいことは何なのか

  • 1.全体か部分か

    では、早速本題に行きましょう。
    最初のトピックは全体か、部分か、になります。

    突然ですが以下の写真、どちらが効果的なフレームワークだと思いますか?
    ここで言う効果的の意味は、このフレーム内にある被写体を自分の狙い通りに見る人に注目してもらえるか、という意味合いになります。
    それを前提にお考えください。

    では、解答に行きますね。

    答えは、右の写真(部分を切り取る)でした。

    まずはこの2枚で主題になるものを考えたいと思います。
    主題とはその文字通り、主役となる題材です。
    パッと見た時にまずどこに目が行くか、そう考えてみると分かり易いでしょう。
    自分がマニアックな題材を主題だと言い張っても、多くの人から見ればそうでない場合は主題とは言い難いですしね。

    そう考えると、主題は自ずと雪原の上の木とその上に沈む太陽がある空間と考えて良いでしょう。
    この写真の中で最も輝度が高い部分と低い部分がまとまって存在するこのエリアには自然と目が行きますよね。

    更に副題となるのは雪原と言って良いでしょう。
    と言うのも、このシーンは空が美しく焼けているわけでもなく色彩に特徴もないため、副題にするには物足りないためです。
    なだらかに波打つ優しい雪原の方が、このインパクトの強い主題を引き立てるのに役立ちます。
    以下のようなイメージです。

    こうして見ると、上の画像で言う白い半透明の長方形で囲われたエリア以外の部分はやや冗長に思えます。
    単なる記録写真ならば未だしも、作品創りでのフレームワークを考えるにあたって最も大切になってくるのは、そのフレーム内の要素で自分が見る人に何を伝えたいかです。
    従って、伝えたい要素とそれを引き立てる要素以外の要素は出来るだけフレームから削った方が良いでしょう。
    あの日の空はこうだったという記録を残しておきたいなら未だしも、そうでないならばこの部分は要りませんね。

    では、次の例題に行ってみましょう。

    これら2枚の写真では、どちらの方が効果的な構図で撮れていると思いますか?
    効果的の意味は先程と同様の意味合いでお考えください。

    では、解答に行きますね。

    正解は横の写真(全体を見せる)でした。

    何故なのかを考えてみましょう。
    まず最初に重要になってくるのは、ここでも主題です。
    主題は・・・言うまでもなく、中央の塔・ブルジュ・ハリファですね。
    このブルジュ・ハリファが創るこのエリアの壮大な世界観を如何に伝えるかがこの写真のテーマになります。

    では、どうすればこの世界観を効果的に伝えられるのか。
    これを実現するのが、奥行きと対比による視覚効果です。
    ここでは、ブルジュ・ハリファの背景をしっかりと見せることで奥行を意識させ、このビルの奥にどこまでも地平線が続いていくようなスケールの大きさを提示するとともに、周囲の高層ビルとブルジュ・ハリファの大きさを対比させて、ブルジュ・ハリファの大きさを際立たせると効果的だと言えそうですね。
    それを考えると、左の横構図の方が効果的ということになります。
    以下のようなイメージです。

    また、手前の光のラインがアーチになっているので、これを中途半端な位置で切り取ってしまうのも勿体無いでしょう。

    こんな風に、風景によってフレームワークを切り替えながら、自分が主題をとおしてその写真で伝えたいものを提示していく必要があると僕は考えています。

    なお、上記の例でも違った見方も当然あるとは思います。
    当然ながら、その人の感性によって心地良いと思うものは変わってきますので、僕が提示した見方も何だかしっくりこないということもあるかもしれません。
    それはそれで良いと思います。
    その、何故しっくりこないのかということを突き詰めてみてください。
    恐らく、そこにあなたの構図の作り方の正解があるのではないかと思います。
    模範解答的な考えは存在しますがあくまでそれは模範解答で正解ではありません。
    故に、自分なりの正解を追求しながら、それを見せていけば良いのではないかというのが根本的な僕の考えです。
    その一例として、この記事では僕の正解だと思う構図の作り方を提示しているとお考えいただければと思います。
     

    2.要素配置とそのバランス

    本日2番目のテーマです。

    構図を作る上で大切になってくるのが、要素の配置とバランスです。
    フレームの中に明るい暗い・大きい or 小さい・色彩の濃淡など類似や対比などの、多くの要素がある場合に、その配置と比重が重要になります。

    例えば下図。
    画面の右は暗い要素で数が多く左は明るい要素で数が少ないとしたら、バランスが悪い構図に見えるでしょう。
    何か寄ってるな・・・と。笑

    では、具体例を見てみましょう。
    ここでは僕が撮影した写真を使用して、この写真を撮影した時にどのような要素配置のバランスを考えて撮影したかをご説明します。
    後付けと思う方もいらっしゃるかと思いますので先に言っておきますが(笑)、本当にこの場でこういう風に考えて撮っていますので、その点は信じていただければ幸いです。

    こちらは北海道の摩周湖付近で厳冬期に撮影した1枚です。
    撮影機材はFujifilmのX-Pro3と単焦点フジノンレンズを使用しました。
    この写真は、以下のように要素のバランスを考えて撮影しています。

    右上の太陽(明るい要素)から湖面に伸びる光のラインと、左下の影や笹など(暗い要素)から伸びる樹木の幹という暗いラインとの対比を、画面の左右にバランス良く配置しました。
    当然、このバランスを実現するためにこの辺りを右へ左へと動き回っています。
    同行したカメラマンのO氏は、僕が何故微妙に位置を変えながら撮っていたのか気になっていたかもしれませんが。(笑)

    では、もう一例いってみましょう。

    こちらは、東京都庁北展望室からの夜景写真です。
    随分と前にCanonのEOS 5D Mark IIと単焦点EFレンズ(Lではない普通の)で撮影した1枚になります。

    こちらは、前景の左側にインパクトがある高層ビル、手前に比較的明るい通りがあるため、富士山と夕焼けがちょうど右上に来るように 構図を整えて撮りました。

    最後にもう一例。

    こちらの写真は、北海道の美瑛で初夏に撮影しました。
    撮影時の機材はCanonのEOS 5D Mark IIと、確か単焦点Lレンズ(EF35mmのL)だったと思います。
    こちらは、こんな考え方で撮影しています。

    一般論になりますが、パッと見た時にバランスが良く要素が配置されているものって、バランスが悪いよりも気持ちが良いですよね。
    例えば冷蔵庫の中に上の段だけに物が固まっていて下の段は空になっているよりも、上の段から下の段に至るまでバランス良く物が収納されているイメージです。(本棚でも良いですが)
    これと同じような感覚で、しっかりと要素配置のバランスを整えたフレームワークを作ることが、見る人にとっては心地良い写真になることが多いです。

    勿論、意図的にそこを外してどこかに視線を誘導させることもありますが、それは要素が少ない場合と考えた方が良いでしょう。
    個人的には、フレームの中に3つ以上の要素がある場合は、或る程度バランスを整えて配置した方が魅力的な作品に仕上がる確率が上がると思います。
    あくまで経験論になりますが。
     

    3.写真を通して表現したいことは何なのか

    日常的な情景の記録や、オーソドックスな絶景写真を撮影する際にはあまり重要な点ではありませんが、例えば国際的な写真コンペティションなどで入賞水準以上を目指すならば、写真を通して自分が何を伝えたいのかが明確になっていることが重要になってきます。
    一言で言えば、この写真のテーマは何なのか。
    構図+アルファのお話です。

    こちらの写真は、International Photography Awards(通称IPA)の2020年版コンペティションにて、非職業写真家カテゴリの自然風景部門で2nd Place(世界第二位)に選定されました。
    厳冬期の北海道の美瑛で撮影した1枚です。

    この写真で私が伝えたかったことは、『穏やかで優しく、それでいて美しい色彩』です。
    タイトルも『Gentle colors』 としました。
    こちらの写真も全体的に淡いトーンながら、色彩の配置のバランスを考えて撮影・現像しました。(ついでに言えばそこを考えてレンズもチョイスしました)
    なお、撮影機材はCanonのEOS 5D Mark IVと、Sigmaの単焦点Artレンズ(135mm f/1.8 DG HSM)になります。

    それに対して、例えば先程出てきたこちらの夜景写真を見てみましょう。

    正直なところ、私はこの写真で国際的な写真コンペティションで上位を狙えるとは思えません。
    構図も考えて撮影していますし、確かに美しい夕焼けの残る夜景写真ではありますが、『あぁ、夜景綺麗だな。富士山が見える。夕焼け綺麗だな。』で終わってまうことでしょう。

    もう一枚、先程構図説明をした時にお見せした写真を見てみます。

    こちらは諏訪の立石公園で撮影した夕景の写真です。
    この写真も夕焼け空が綺麗で、諏訪湖にその色彩が反射していますが、こちらも国際的な写真コンペティションでは戦えないでしょう。
    『綺麗な夕焼けだなぁ。』で終わります。

    対してこの写真は、前途のIPAの2019年版コンペティションで、Honorable Mention(選外佳作相当)に選定されたのに加え、ナショナルジオグラフィックのフォトコミュニティで、Daily Dozen(投稿された全ての写真から、編者により1日に12枚だけ選定され、ナショジオweb版に掲載)で、19/7/31に選定されました。

    こちらのタイトルは『the Sacred Place』です。
    この写真も先程の厳冬期の美瑛の写真を撮影した撮影遠征の時に撮りました。(日付は1日違いです)
    使用機材はCanonのEOS 5D Mark IVとSigmaの単焦点Artレンズ(24mm f/1.4 DG HSM)でした。
    どちらも、色彩の対比伝えたいことを効果的に伝えるための適切な構図を使用していることに注目していただければと思います。


    いかがでしたか。

    もちろん、構図は大切です。
    が、寧ろそれはスタートライン

    バランスが良く美しく見える構図を考えてその枠を決めることは、素晴らしい作品を作り出すことの『前提』に過ぎません。
    そこから更に、フレーム内にあるどの要素を使ってどんなメッセージを伝えたいのかが大切になってきます。
    故に、高いレベルで戦うならば、タイトルとキャプションも大切と言えるでしょう。
    勿論、これらを適当にした場合でも、技術的水準が高ければ或る程度のところまではいけることはありますが、しっかりと狙ってそこまで作り込んだ方が確実に良い結果は出ると思います。

    上達への何よりの早道は自分の頭で考えてより多く撮影をすることだと思います。
    故に、これらを頭の片隅に置いていただいて、沢山シャッターを切っていただけると嬉しいですし、この話が役に立ち、皆さんが少しでもご自分の目標に近付けることが僕の願いでもあります。

    ただ、何より最も大切なのは楽しむことだと思います。
    五感で風景を感じながら、心でその場にいることに喜びを見出していただけたら最高ですね。

    今回はこの辺りで、今回筆を置かせていただこうと思います。

    最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

     

    Sponsor Link
    Check the latest information !