ランニング愛好家の皆さん、こんばんは。
フォトファンタジスタ×シティランナーのw.aokiです。
今回は、ランニングシューズについてのお話をしようと思います。
シューズの耐久力に関しては、市民ランナーの皆さんは一度は気になったことがあるのではないでしょうか。
自分が実際に使用しているシューズの耐用期間がおおよそどの程度なのか、一度は調べてみたことがある方も多いと思います。
私も日頃の練習ではNIKEのペガサスターボ2を愛用していますが、インターネットで検索したことがあります。
ちなみにこのペガサスターボ2は、同じNIKEのヴェイパーフライ4%やNext%などと並び厚底ランニングシューズに分類され、これらのヴェイパーフライ系シューズをレースで使用するランナーの練習用シューズとしても知られている人気のランニングシューズです。
このシューズの耐用期間について以前調べた時には、おおよそ600km~800kmというところが行き着いた答えでした。
これに関しては実際に自分が600km走ったペガサスターボ2の状態を元にして、当ブログで以前に記事を書いたこともあります。
トップランナーの練習用シューズとしても人気!NIKEのペガサスターボをレビューします
さて、上述のとおりペガサスターボ2は巷では600km以上の耐久性があると言われています。
私もそれについては確認をしていて、確かに600km走ってもソールは破損しませんでした。(上記事に写真あり)
同様に、これよりも前に使用していた先代のペガサスターボ2も、600km走っても破損の観点では大丈夫でした。
しかしながら、ここが大事なところなのですが、使おうと思えば使えるもののパフォーマンスと言う観点では本当に使い続けて良いもの(使い続けるべきなの)か。
前回のレビューではその観点では考察していなかったので、今回はそこの部分に焦点を当ててみることにしました。
では、実際に写真とともに見て行きましょう。
今回は実際に500km走ったペガサスターボ2と、10km走っただけのほぼ新品のペガサスターボ2で、500km走った方がどの程度ダメージを受けているのかを比較考察します。
1.外観(主にアウトソール)の比較
まずはほぼ新品のペガサスターボ2の外観です。

まぁ新品ですね。(笑)
裏側はどうでしょうか。

多少汚れてはいますが、ダメージは見受けられません。
次は、500km走ったペガサスターボ2の外観です。

中のZOOMの文字(左足)やNikeのロゴ(右足)などが剥げていることが見て取れます。
この部分は足裏で摩擦が生じますから仕方ないでしょう。
次は裏側(アウトソール)を見てみます。

こちらは激しくダメージを受けていますね。
私はフォアフットストライク走法なので、前の方の部分のボツボツが凹んで殆ど平らになっている部分が見られます。
2.インソールの厚みの比較
アウトソールの次はインソールの比較をしてみます。
このペガサスターボ2もヴェイパーフライ系と並び厚底ランニングシューズに分類されるので、インソールのポリウレタンフォームが持つクッション性と反発力が大きな特徴であり武器となっています。
ちなみにこのポリウレタンフォームは公式にはNike React(通称リアクトフォーム)と言い、ナイキのホームページでも以下のとおり説明があります。
NIKE REACTとは?| NIKEヘルプ
従って、この部分の厚みがどの程度減少しているかが、性能の低下度合いを考察する上で重要な指標となると考えられます。
その辺りを実際に計測した写真で見て行こうと思います。
まず、ほぼ新品のペガサスターボ2の内側前方・インソールの最も厚い部分の高さを調べてみましょう。

メジャーの始まりの部分が1mm程左側にズレているので、厚さは21mmと言ったところでしょうか。
次に、500km走ったペガサスターボ2の同じ部分を計測してみます。

こちらも上と同じ考え方で厚みを測ると20mmですね。
500km走って1.0mm厚みが少なくなったことが分かります。
では、次は内側後方に行ってみましょう。

こちらは36mmと言ったところですね。
では、500km走ったペガサスターボ2はと言いますと・・・

おおよそ34.5mm。
1.5mm程厚みが減少していました。
前方よりも後方の減少幅が若干大きくなっていますね。
次は外側前方を見てみましょう。
まずは新しいペガサスターボ2から。

24mmと言ったところですね。
では、500km走ったペガサスターボ2を見てましょう。

こちらは20.5mmと言ったところですね。
なんと、3.5mmも縮んでいました。
これは、一般的にランニングシューズは外側に掛かる衝撃の方が内側よりも大きいことから来る違いなのでしょう。
また、私がフォアフットストライク走法でも、脚の外側(小指の付け根辺り)から着地する走り方というのもあるのかもしれません。
では、次は外側後方です。

36.5mmですね。
次に、500km走った方を見てみます。

33mmですね。
前方と同じく、外側は3.5mm厚みが減少していました。
まとめると
内側前方:21mm → 20mm (1.0mm (5%) 減少)
内側後方:36mm → 34.5mm (1.5mm (4%) 減少)
外側前方:24mm → 20.5mm (3.5mm (15%) 減少)
外側後方:36.5mm → 33mm (3.5mm (10%) 減少)
でした。
外側の方が全体的に薄くなっていることが分かります。
3. インソールの性能の考察
ここまでは写真を見ながら外観の変化を見てきました。
特に今回のペガサスターボ2に関しては、外側は前後とも10%以上(前方に至っては15%)もの厚みが失われているため、クッション性および反発力が低下していることが想定されます。
これについて、構成素材という観点を含めて考察してみます。
このインソールはリアクトフォームと呼ばれるポリウレタン製の素材で、厚底シューズの肝とも言われる部分です。
一般的にランニングシューズのインソール(フォーム)に使用される素材はEVAが多いですが、NIKEはそこEVAよりもやや硬質の軟質ポリウレタンフォームを採用し、クッション性と弾力性(反発力)を両立させる特殊なインソールを開発しました。
そして、足へのダメージをクッション性で和らげると同時に、高い弾力性による反発により前への推進力を生み出すという2つの相反する要素を併存させることに成功しました。
ただ、EVAとこの軟質ポリウレタンフォームが大きく異なる点は、ポリウレタンフォームは中に沢山の小さな気泡を含んでいる点です。
この気泡は基本的には耐久性は高いのですが、着地の衝撃によるダメージが蓄積することで、徐々に潰れて行ってしまうことが弱点の一つです。
この点、EVAも長期の使用で多少圧縮はするものの、ポリウレタンフォームのように気泡が存在する構造ではないため極端に潰れてしまうことは少なく、性能の保持という観点では耐久性が優れていると私は思っています。
なお私の経験では、走る速度が速ければ速いほど一歩一歩の着地の衝撃(地面を蹴る力)が大きくなるため、速く走れば速く走るほどリアクトフォームのダメージの蓄積は早くなるように思いました。
また、このリアクトフォームの劣化が接地した時にどの程度影響が出るのかも検証してみたのですが、実際に10km走ったペガサスターボ2と500km走ったペガサスターボ2とでは、接地した時の足の沈み方が明らかに違いました。
500km履いたペガサスターボ2は、薄底シューズのように接地した時の衝撃がダイレクトに伝わる感じがありましたが、10kmしか走っていない新品同様のペガサスターボ2は、接地した時に地面が遠くに感じ、また良く反発もしてくれました。
その部分に意識を集中するかしないかで受け取る感覚も異なるとは思いますが、確かにこれは違うと明らかに分かる程度の差がありましたね。
何よりクッション性の低下により接地の衝撃が足へとよりダイレクトに伝わるほど怪我にも繋がり易くなりますし、足が地面に沈み込む時間(接地時間)が短いほど運動効率も良く速く走れます。
このことを考えると、ダメージの蓄積によるインソールの性能低下の加減を確認しつつ、いつまで使い続けるかを見極めることが、厚底シューズは薄底シューズ以上に大切になるだろうと改めて実感しました。
そしてこれらの考察を得て、この500km以上走りインソールの厚みが10%以上減少した厚底ランニングシューズに関しては、怪我の防止および練習効率を考慮してそろそろ交換した方が良いという結論に私は達しました。
まとめ
- 厚底ランニングシューズは、500km走るとインソールの厚みが特に外側で大きく減少
- その原因は、インソールを構成するポリウレタンフォームへのダメージの蓄積
- 性能低下の程度と交換のタイミングを見極める必要性は、薄底シューズ以上に重要
いかがでしたか?
今回は私が普段ロードトレーニングで使用しているペガサスターボ2を例に取り、厚底ランニングシューズが500km走るとどの程度性能が低下するのかを考察してみました。
見た目の変化だけでなく、インソールの厚みの減少を実際に計測で確認し、その影響でクッション性や反発力が低下していることも、走った時の足が沈み込む感覚で理解できました。
ちなみに上記のとおりこの考察結果を受けて、私はペガサスターボ2の交換時期を600km以上走ったら⇒500km以上走ったらに変更しました。
尤もこれは今の速いペースで走る練習をベースに導き出した結論なので、1km4分台や5分台などのペースで走る場合はまた違った結論に達する可能性も十分にあると思います。(恐らくダメージの蓄積がゆっくりになるため耐用期間が延びると思います。以前の私がそうでした。)
シューズの変え時をしっかりと見極めることは、怪我を防止することは元より練習効率の向上にも繋がりますので、これを読んだ市民ランナーの皆さんもその辺りを念頭に日々の練習に励んでいただければ幸いです。
また、皆さんのランニングライフが充実したものになるよう、陰ながら応援しています。
本日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。